古民家再生 碧南の合掌蔵01 古民家再生 碧南の合掌蔵02 古民家再生 碧南の合掌蔵03

旧家の殆んどの蔵は先々代からの大小の行李などが所狭しと置かれていて、その隙間をぬって必要なものを取りに行くようになっています。
2階へは梯子まがいの階段でモノを持っての昇り降りは危険
ですらあります。「蔵」本来の目的は、火災時には耐火金庫としての役目と、日本人が大切してきた歳時や人生の節目節目での行事を行うための必要な道具を納めるスペースを蔵が担っていたのです。
「室礼」を大切にして四季折々ごとに「設え」を入れ替える知恵で、座敷には最低限の調度品しか置かず、質素で簡素な生活形態を確立してきましたが、現代住居では必要以上のモノに占領され「設え」を入れ替える人手もスペースもなくなり「蔵」本来の目的を果たせなくなっています。
私たちの収納に関する考えは「ワンルーム・ワン収納 = その部屋で必要なものは、その部屋で収納
する」ことを基本に、収納するアイテム・量をお聞きして部屋ごとに便利で使い勝手の良い収納を考えています。必要な場所にきちんと収納できると毎日の生活が快適になります。

「碧南の合掌蔵」では、1階がご先祖様が大切に使い、受け継がれた「室礼の道具」等の置場になっています。毛筆で品名が記載された木箱が整然と整理された空間は美しいです。2階は鉄道模型などを愉しむホビースペースにする目的で再生しましたが、現在はお母上とお嬢さまの二対の雛壇を飾っています。

工事内容は、木構造はそのままに屋根瓦の葺き替え、1・2階床張り替え、階段位置変更及び緩やかなな階段に造り変え、2階階段まわりは熱効率を考えガラス戸で囲っています。
物入の舞良戸は既設建具を使用し、合掌梁・天井板に洗いをかけ、壁を新しくすると収納だけで眠っていた蔵が甦りました。 
平井憲一