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由緒あるお寺さんの庫裡の設計依頼を受けることは大変光栄なことでしたが、反面その歴史の時間軸の中に我々が創りだす庫裡がその境内に配置された時に、恰も昔からその場所に存在しているようで違和感がなく、又 「時空を超えて凜とした佇まいを創る」ことの重圧を感じながら臨みました。 最初は既設の庫裡(平屋)を再生することからスタートしましたが、諸条件を勘案すると、古材の丸太を再利用して新築することに決まりました。が、丸太を解体すると白蟻の被害にあっていたため新しい丸太に取り替えています。大黒柱、玄関の式台・上がり框は境内の欅を製材保管していたものを使用しています。 庫裡は、南面に面して座敷と畳敷き一間の広縁、そして玄関、寺務室が配置され、玄関には欅で造られた腰掛けを設け、玄関ホールは報恩講料理を作るお台所と継げ、門徒の人たちの動線を最優先して設計しています。 どの部屋からも境内の手入れの行き届いた庭を眺められ、堂々たる本堂の大屋根・唐破風のある書院を背景に樹木の緑がこころを豊かにしてくれます。建築様式は古典的な形態を踏襲していますが、屋根・外壁は通気工法として断熱性を高め冷暖効率を良くしています。仏事の備品・道具類の収納スペースもたっぷり取り、段差の少ないバリアフリーで、使い勝手の良いゆったりした空間にしました。 平井憲一
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